シンとキヨ
ある夜、アラが先に眠り、シンとキヨだけが起きていた。
キヨが言った。
「シン、この旅が終わったら、どうするつもりか。」
シンは言った。
「村に戻る。サカリとニゴリのことを、決着をつけなければならない。」
キヨは言った。
「決着とは何か。」
シンは言った。
「道を守ることだ。打ち負かすことではない。」
キヨは少し間を置いてから言った。
「サカリのことを、まだ友だと思っているか。」
シンは答えるまでに、時間がかかった。
「思っている。だから辛い。」
キヨは火を見たまま言った。
「それでいい。辛くなくなったとき、お前はサカリの神を見られなくなる。
神を見られなくなった者は、道ではなく感情で動く。
辛くても、サカリの中の神を見続けろ。それがお前の強さになる。」
シンはキヨを見た。
「お前はいつもそうだ。俺が見えていないものを、先に見ている。」
キヨは少し笑った。
「お前が見ようとしているから、私が見えるのかもしれない。」
二人は黙って、火が小さくなるまで座っていた。
火が消えかけた頃、シンは言った。
「昔、お前の前で息が浅かった。覚えているか。」
キヨは言った。
「覚えている。」
シンは言った。
「あの頃は、お前の前で立派でいたかった。守りたかった。
自分が上にいなければ、お前の隣にいる資格がないと思っていた。」
キヨは何も言わなかった。
シンは続けた。
「今は違う。お前は俺より深いものを見ている。
俺が真っ直ぐ伸びようとするとき、お前が根を張っている。
俺が倒れそうなとき、お前の根が支えている。
それに気づくのに、一年かかった。」
キヨは言った。
「私もお前がいなければ、根を張るだけで終わっていた。
高い場所を見ることがなかった。」
二人の木は、いつの間にか絡み合っていた。
どちらが上でも下でもなかった。
異なる力が、一つの森を作り始めていた。