序文

ここに記すものは、新しい教えではない。
古くから日本で暮らしてきた人々の、生き方の知恵であり、指針である。

日本という土地で暮らしてきた人々は、
食事の前に「いただきます」と言い、
物を大切に扱い、目の前の人に礼を尽くしてきた。
経典があったわけでもない。教義があったわけでもない。
それでも当たり前のように、代々そうしてきた。

神道記は、その「当たり前」を言葉にしたものである。

なぜ今、書くのか。

言葉にされていないものは、軽く扱われる。
「それに何の意味があるのか?」と問われた時に、
答えられなければ、無いものとされる。

なぜ「いただきます」と言うのか、説明できる者は少ない。
古い道具を捨てられないのは、ただの執着だと言われる。
黙って誠実に生きてきた者たちの知恵が、
言葉にならないというだけで消えかけている。

だから、書き記す。

この書は、誰かに信仰を求めるものではない。
読んで、合わないと思えば閉じればよい。
ただ、ここに書かれていることに頷ける者には、
読む価値があるだろう。

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