サカリとの再会
翌日、サカリが現れた。
以前と見た目は変わらなかった。
しかし目が違った。
以前は笑っていた目が、今は何かを計っていた。
サカリはシンを見て、笑顔を作った。
「戻ったか。長かったな。」
シンは言った。
「戻った。」
サカリは言った。
「旅はどうだった。見聞きしたことを聞かせてほしい。
お前の話は、村の役に立つかもしれない。」
シンはサカリを見た。
言葉は友のものだった。しかし目は、利を計っていた。
シンは言った。
「サカリ、お前は今、何のために動いているのか。」
サカリは少し笑った。
「村のためだ。決まっている。」
シンは言った。
「本当にそうか。」
サカリの目が、一瞬揺れた。しかしすぐに戻った。
「お前は相変わらず、まわりくどいことを言う。
俺はただ、村を良くしたいだけだ。」
シンは言った。
「ならば一つ聞く。ニゴリは村を良くする者か。」
サカリは黙った。
やがて言った。
「あの男は使える。それだけだ。」
シンは言った。
「使える、か。しかし使っているつもりが、使われていることがある。
お前は今、どちらだ。」
サカリは笑顔を消した。
「お前は昔から、そうだ。正しいことばかり言う。
しかし正しいだけでは、何も変わらない。」
シンは言った。
「変えたいものと、変えてはならないものがある。
俺が心配しているのは、お前がその区別をなくしかけていることだ。」
サカリは何も言わずに去った。
シンはその背中を見送った。
胸の中に、重さがあった。
サカリの言葉は巧みだった。
昔と同じだった。いや、さらに磨かれていた。
しかしサカリの手は、何をしていたか。
シンは自分の手を見た。
旅の間に、土を耕し、石を運び、水路を直した手だった。
傷だらけだった。
若い頃、シンもサカリと同じことをした。
村の集まりで大きな声で語り、誰にも聞いてもらえなかった。
マツが言った。手が語るまで、口を閉じよ、と。
あれから何年も経った。
シンの手は語れるようになっていた。
だからこそ、サカリの空虚さが見えた。
言葉の重さは、その言葉の後に来る行いが決める。
行いのない言葉は、どれだけ磨いても、風に消える。