第26章

村の変化

村に入ったとき、シンはすぐに気づいた。

空気が違った。

村人たちの目が、以前と違っていた。
笑顔が少なく、互いを見る目に、薄い警戒があった。
挨拶をしても、どこかよそよそしかった。

シンは幼い頃から知っている老婆に声をかけた。
老婆は周りを確かめてから、小声で言った。

「ニゴリという男が来てからおかしくなった。
隣村が悪い、よそ者が悪い、と言い続けて、
村の者たちが二つに割れてしまった。
サカリがその男と組んで、今では村の決め事のほとんどを牛耳っている。」

シンは聞いた。
「長老たちは何と言っているのか。」

老婆は首を振った。
「もう力がない。逆らった者は、村の敵だと言われる。
皆、黙るようになった。」

シンは礼を言い、老婆と別れた。

アラが言った。
「一年でここまでなるか。」

シンは言った。
「恐れが広がるのは早い。恐れは、怒りより速く人を動かす。」

キヨが言った。
「どうするつもりか。」

シンは言った。
「まず見る。まず聴く。それからだ。」

しかしその夜、シンの中で怒りが膨れ上がった。

サカリを、ニゴリを、まとめて叩き出してやりたかった。
村を汚した者を全て排除して、元に戻したかった。
手が勝手に握りしめられていた。

アラが言った。
「お前、全部を壊しにいくつもりだろう。」

シンは言った。
「何もかもが腐っている。全部引き抜いて、最初からやり直したい。」

アラは少し間を置いてから言った。
「それは雑草を全部抜くのと同じだ。
稲まで抜くぞ。」

シンは息を止めた。

アラは続けた。
「怒っているのはかる。しかし怒りで全部を排除しようとすれば、
守るべきものまで傷つける。
ニゴリは雑草だ。しかしサカリは、まだ分からない。
老婆も、村人たちも、まだそこにいる。
見極めろ。」

シンは拳を開いた。
指の跡が、手のひらに残っていた。