第30章

サカリの選択

その夜、サカリがシンのもとに来た。

一人だった。
以前の、計るような目ではなかった。
疲れた目だった。

サカリは言った。
「お前の言う通りだった。」

シンは何も言わなかった。

サカリは続けた。
「俺は村のためだと思っていた。しかし本当は、認められたかっただけだった。
ニゴリはそれをかっていた。俺の承認への渇きを、うまく使っていた。
気づいたのは、広場でお前が話しているのを見たときだ。
お前は誰かに認められようとしていなかった。
ただ道を守ろうとしていた。
その違いが、初めて分かった。」

シンは言った。
「分かったなら、それでいい。」

サカリは言った。
「それだけか。責めないのか。」

シンは言った。
「責めることが目的ではない。サカリ、お前はまだ道に戻れる。
戻るかどうかは、お前が決めることだ。」

サカリは長く黙っていた。

やがて言った。
「けじめをつけなければならない。村人たちに、謝らなければならない。」

シンは言った。
「それが最初の一歩だ。」

サカリは立ち上がった。
去り際に言った。

「お前はマツに似てきた。」

シンは少し笑った。
「まだまだだ。」

サカリは夜の中へ消えた。

その後、シンは囲炉裏の火を見ながら、旅の町のことを思い出していた。
あの男に善意の顔で使われた日のことを。
恩と義理を盾にされ、断れなかった自分のことを。

あの時と今日は、同じだった。
サカリもまた、友情と昔の絆を盾にして、シンを引き込もうとした。
しかし今日のシンは乱れなかった。

違いは一つだった。
旅先では、相手の善意を疑うことが後ろめたかった。
今は分かっていた。
に合わないものは、善意であっても受け取らない。
それは冷たさではない。
道を守ることだ。