第16章
貧しい村
三日歩いた先に、小さな村があった。
その村は貧しかった。
田畑は痩せ、子供たちは目が窪んでいた。
老人たちだけが残り、若者の姿がなかった。
シンは村の長老に聞いた。
「若者たちはどこへ行ったのか。」
長老は言った。
「町へ出た。ここでは食えないと言って。」
シンは村に三日留まった。
畑の土に手を当て、水の流れを調べ、何が足りないかを探した。
アラは黙って重い石を運び、水路を直した。
キヨは老人たちと話し、何が必要かを聞いた。
三日目の夜、シンは長老に言った。
「この土はまだ生きている。水の引き方を変えれば、まだ実る。」
長老は言った。
「しかし若者がいない。」
シンは言った。
「残っている者の分を、残っている者が尽くすしかない。
それだけのことだ。」
長老は長く黙ってから言った。
「お前は何者だ。」
シンは言った。
「ただ歩いている者だ。」
シンはもう少し留まりたかった。
もっとやれることがあると思った。
しかしキヨが言った。
「もう行くべきだ。」
シンは聞いた。
「なぜだ。まだ水路の上流が残っている。」
キヨは言った。
「それをお前がやれば、次もお前を待つ。
お前がやるべきことは、やり方を見せることだった。
やり方を見せたなら、あとは彼らの分だ。」
シンは納得できなかった。
しかし三人は翌朝、村を出た。
村の子供たちが、見えなくなるまで見送っていた。