第5-3章
富と貧しさ
とみとまずしさ
富を憎むな。
富は、分を尽くした者への、道からの応答である。
誠実な労働と、正しい判断と、長い積み重ねが、富を生む。
その富を恥じる必要はない。
しかし富を目的にするな。
富は結果であり、道ではない。
富を目的にした者は、富を得ても満たされない。
器が富で満たされても、神が宿らぬ器は、空虚である。
富める者よ。
汝の富は、汝一人で作ったものではない。
この土地が、この共同体が、無数の人々が、汝の富を支えた。
その事実を忘れた者は、道を外れている。
しかし富める者に、際限なく差し出すことを求めるな。
それは富める者の分を奪うことである。
強者から搾り取ることを正義と呼ぶ者は、道を理解していない。
貧しさについて語ろう。
貧しさには、二種類ある。
分を尽くしながら、まだ報われていない者の貧しさ。
分を尽くさぬまま、貧しさに座り込んだ者の貧しさ。
前者は、循環の中にある。
道は、それを忘れない。
後者は、自らが選んだ場所にいる。
道は、そこから出る力を、その者の中に置いている。
貧しさを嘆くな。
ただし、貧しさに慣れるな。
今日の分を尽くせ。
それが、明日の器を深くする唯一の道である。