第5-2章
老いと死
おいとし
老いを恐れるな。
老いは、敗北ではない。
老いは、長く分を尽くしてきた者への、道からの印である。
若さを失うことを嘆く者がいる。
しかしそれは違う。
若い木は柔らかく、しなやかである。
しかし嵐に家を建てるなら、古い木を使え。
年月を経た木には、若い木にない密度がある。
人もまた、同じである。
老いた者よ。
汝の中に積み重なったものを、惜しまず渡せ。
それが老いた者の分である。
経験を抱えたまま去ることは、道への借りを残すことである。
若い者よ。
老いた者の言葉を、すべて正しいとは思うな。
しかし、すべて古いとも思うな。
年月の中には、汝がまだ見ていないものがある。
まず聴け。その後に判断せよ。
死について語ろう。
死は、終わりではない。
この道はそれを知っている。
山の木は倒れ、土に還り、新たな命の糧となる。
人もまた、循環の一部である。
死は循環の節目であり、道の続きである。
ゆえに死を恐れすぎるな。
しかし死を軽んじるな。
死を恐れすぎる者は、生きることに臆病になる。
死を軽んじる者は、今この瞬間の分を粗末にする。
よく生きた者は、よく死ねる。
分を尽くし、けじめをつけ、道を歩んだ者は、
去り際に汚れがない。
汝は今日、よく生きたか。
その問いが、死への正しい備えである。