第5-9章

比べることの罠

くらべることのわな

隣の畑を見る農夫がいる。

隣の畑が豊かに見えるとき、自の畑が貧しく見える。
しかしその農夫は、自分の畑を見ていない。
隣の畑を見ている間、自分の土に手を当てていない。

比べることは、時に道を教える。
優れた者を見て、自らの分を深めようとする者がいる。
これは比べることの正しい使い方である。

しかし多くの場合、比べることは毒になる。

隣の者の豊かさは、隣の者の根の深さが生んだものである。
汝の根の深さとは、別のものである。
異なる土に、異なる種を植えた者を、同じ基準で測ることはできない。

今の世は、比べることを止めない。
常に誰かの豊かさが目の前に現れ、
自らの貧しさを突きつけてくる。

しかしよく見よ。

見えているのは、隣の者の豊かさだけである。
隣の者の根の苦しみは、見えていない。
隣の者の夜中の不安は、見えていない。
隣の者が払った代償は、見えていない。

比べるなら、昨日の自分と比べよ。
昨日より今日、一歩でも深く根を張ったか。
それだけを問え。

汝の道は、汝にしか歩めない。
他の者の道と比べることは、地図の違う山を登ろうとすることである。