第2-1章
分を尽くす
ぶんをつくす
天地には役割がある。
山は山として在り、川は川として流れる。
山が川を羨むことはなく、川が山を妬むこともない。
それぞれが、それぞれの分を尽くしている。
人もまた同じである。
分とは、身分ではない。
分とは、今この瞬間に自分が果たすべき役割のことである。
親には親の分がある。
子には子の分がある。
漁師には漁師の、大工には大工の分がある。
分を尽くした者は、尊い。
華やかであるかどうかは関係ない。
名が知られているかどうかも関係ない。
誠実に、静かに、自らの分を果たした者が、最も尊い。
しかし今の世には、こういうことが多い。
分を尽くす者が割を食い、
分を尽くさぬ者が守られる。
誠実な者が損をし、
声高に叫ぶ者が得をする。
これは道に反する。
しかし、それでも分を尽くせ。
そして分を尽くした者を、正しく尊べ。
それが、あるべき世の姿である。