第4-4章

映らぬ鏡の者

うつらぬかがみのもの

なるものには、二種類ある。

声高に来る者と、静かに蝕む者である。

声高に来る者は、見えやすい。
言葉で立てば、その言葉は届く。
乱れなければ、その者は居場所を失う。

しかし静かに蝕む者は、違う。

この者たちは愛想がいい。
笑顔を持ち、言葉が柔らかく、一見すると害がない。
しかし日々の行いが、共同体の根を少しずつ腐らせる。

約束を守らない。しかし悪びれない。
迷惑をかける。しかし気づかぬふりをする。
指摘されると、被害者の顔をする。
疎まれても、平然としている。
謝らない。変わらない。しかし出ていかない。

この者たちに鏡を差し出しても、映らない。
なぜなら、映っていることに気づいても、気にしないからである。
恥の感覚が、薄いか、あるいはない。

これが最も厄介な邪である。

では、どうするか。

第一に、言葉への期待を手放せ。
この者たちは言葉で変わらない。
言葉で変えようとし続けることは、こちらの消耗だけを生む。
言葉は一度、明確に言えば十である。
それ以上繰り返すことは、こちらが乱れることに繋がる。

第二に、記録せよ。
この者たちは、なかったことにしようとする。
言っていない、やっていない、と言い張る。
ゆえに事実を記録せよ。
記録は、感情ではなく事実で語る。
感情で語れば、こちらが乱れた者に見える。
事実で語れば、動かしようがない。

第三に、共同体の構造で対処せよ。
一人で向き合うな。
この者たちは、一対一では被害者の顔をする。
共同体として、静かに、しかし明確に作法を示せ。
「ここではこうする」という規範を、皆で持て。
規範は、特定の者を排除するためではない。
共同体を守るための器である。

第四に、その者が力を持てない仕組みを作れ。
追い出すことが目的ではない。
その者が共同体の根を腐らせる力を、持てないようにすることが目的である。
責任ある役割を与えるな。
重要な決め事に関わらせるな。
静かに、しかし確固として、その者の影響を小さくせよ。

第五に、こちらの器を保て。
この者たちと向き合い続けると、こちらが疲弊する。
疲弊した器は、判断を誤る。
向き合いながらも、自らの清めを怠るな。
この者たちへの怒りや憎しみを、抱え続けるな。
けじめをつけ、手放し、また道を歩め。

最後に、これを覚えておけ。

恥を感じない者に、恥を感じさせようとするな。
それは不可能であり、こちらの時間と力の無駄である。
この者たちを変えることが目的ではない。
この者たちから共同体を守ることが、目的である。

道は、すべての者を変えることを求めない。
道は、変えられない者に振り回されないことを求める。